▼戦略が実現されるには、どんな道のりがあるか
○会計学の大家 ロバートキャプラン、櫻井道晴氏などが、原価計算から企業評価
の研究成果を「バランスド スコアカード」として発表しています。もう10年
たちましたから、さまざまな本や情報システム関係でも利用されています。
○いわく、「ビジョンと戦略を実行し、業績を高めるには多面的な観測点を持た
ねばならない。たとえば、飛行機のパイロットだ〜」と始まる、計測機器の例えと
業績という結果をもたらすには、実行過程での多元的な指標が必要だ という主張。
○「またまた、名前だけが新しい理論かぁ」と思っておりましたら、私の守備範囲
の”物流ABC”の大家がこぞって論文を発表していました ので、興味の虫が動
きました。
○なるほど、利益は結果に過ぎず、進捗管理をどんなに小さなメッシュにしたって
だめなときは駄目 というのが、今までの業績管理でした。PDCAをどれほど上手
に回しても、そこに明確な努力方向が数値化されていなければ、結果の業績もだめ
○バランスドスコアカードでは、この進捗管理を行ううえでの個人、組織、顧客の
目標値を持つことを薦めています。その結果は、業績が上がる という結論を出せ
ることになります。いつ、誰が、何を、どのように、どうするのか という計画の
要素を、個人の目標、組織の目標、顧客からの観点でチェックしながら進めること
これを、飛行中のパイロットに習えているのが目からうろこですね。
○いわく、努力が間違った方向に進めば、結果は正しくも半分しか価値がない
にも通じます。個人と組織の目標管理、そして顧客観点でのガイドラインが正し
ければ、結果は欲しい業績が手に入る ということで、「なぁんだ」とも言える。
無理やりの押し込み販売で短期的に利益を計上しても、長続きしない。財務を操
作して、決算利益を捻出してもやはり続かない。でも、一時的にはみんな幸せにな
る。
○最後の業績目標「収益率と利益額の向上」とすると、以下こんな風になるので
しょうか。
▼戦略実現は、個人・組織・顧客満足の先行指標で約束される
■個人の目標値
従業員満足度:上長によるカウンセリング時間
業務生産性:時間、経費、正確度
社内向け提案件数:業務への向上心
業務研修、外部学習会参加時間:学習成果
個人面談実施回数:上長との接触度
個人目標実績達成度:計画精度、統制克己心
■組織や業務の目標値
受注獲得成長率:安全性、信頼性、ミス率
受注コスト:営業コスト、事務コスト、物流コスト
クレーム処理回数:クレームの把握と対処
労働時間生産性:売上高対工数
新規発案の業務ルール数:情報共有化指数
部門調整会議時間数:調整案件数
予算実績達成度:計画精度、管理会計習熟度
■顧客観点の目標値
主力商品のシェア:成長率
返品率:プロセス品質指数
訪問回数、接客時間:商談延べ時間
売上げ伸張率:顧客あたり
社内外クレーム数:苦情率、親密度
新規顧客売上高:市場占有率指標
顧客の来社回数:感謝指数
○そして、企業活動の業績目標として利益率、利益額を実行可能なものと理想像
に定めれば、デザイアビリティとフィージビリティの中間値でフィックスできそう
ですね。(望みたい目標と実現可能性がある妥当値)
○物流現場にも取り入れない手はありません。 個人、ワークチーム、顧客指標
をセットして始めて、物流コスト削減率やエラー削減(誤出荷、棚卸誤差)が実現
できることになります。
▼物流戦略の進化が遅いのは、先行指標改善が管理されていないからだ
○物流現場でのバランスドスコアカードモデルでは、以下のようになるでしょう。
■個人目標:規定休暇消化率、残業対物量、提案数
■チーム目標:エラー率、平均残業時間、現場清潔度(他者評価)
■顧客目標:チーム別のクレーム率、顧客からの電話数、詫び状発送数、来客数
○どんな業績指標を持つことがいいのかは、企業の風土や取扱い商材、得意先の
種類によって当然異なりますから、QCテーマとしても良いかもしれません。われら
は認められるために業務を遂行し、結果に責任と褒章を期待しているのですから。
○一元的な観点では、何ものも計ることはできない という真理をうまく経営に
転換したものとして、高く評価される理論だと思います。ご本もたくさん出ていま
すぜひ、通読してみてください。
○ちなみにKPI というのは、キー パフォーマンス インディケーター といい
重要業績指標のことです。単なる目標とはちょっと違うニュアンスですね。
到達目標に高遠な戦略論を上げるのもいいだろう、しかし日常運営での3つの先行
指標に変化をもたらす活動が行われなければ、戦略も絵に描いた餅となるのは明
白だ。そこで、現場活動がすべての出発点であることを心しておきたい。
文責:花房陵