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■    『成長は痛みを伴うもの』 売れないときの物流
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▲何のための物流活動


物流がロジスティクスと呼ばれて久しいです。ビジネスを戦闘に例え、マーケティ
ング、情報分析、商品開発、調達と販売物流を担うのがロジスティクス業務で、決
してただの後方支援部隊ではありませんでした。ところが、デフレ対応で商品サー
ビスを絞り込み、販売チャネルを制限したことで局部的な営業利益の捻出に走って
しまっては、ロジ活動も縮小気味です。

拠点の統合、業務のアウトソーシング、マーケットの選択と集中で物流部門が掌握
していたエリアも狭められてきています。販売と生産が縮小し、販路も選択された
結果が、営業利益の拡大になることがあります。

80:20の原則→営業利益の80%は、20%の製品群や得意先から発生する
これの驚くところは、50:10の関係もあることでしょう。あくまでも近似値で
あって、正確ではありませんが、「選択と集中」の意味を理解するには自社のデー
タを当てはめることです。

20:300の原則→本来の収益は、20%の製品群と顧客層で300%確保でき
ているのに、残りの80%で200%を帳消しにしているという、シニカルな原則
です。「無理な製造、販売の挙げ句〜〜」ということを証明してしまいます。

物流活動はこれらの限定活動に終始すれば、コストも掛からない代わりに規模が小
さくなってしまいます。当然、組織部門も縮小されますから、「コア業務への転換
を目指せば」いいのです。物流プロフェッショナルが、調達計画、販売マーケティ
ング業務へ転籍できれば。

▲企業の成長、人間の成長


経営目的を市場の制覇、拡大、成長とすることが多いようですが、一朝一夕では実
りません。短期、中期、長期にわたって作戦を練ることになります。相撲では時間
と共に心・技・体の成長を心がけさせます。幼児児童は同じように、徳育・知育・
体育とカリキュラムが組み立てられています。

ならば、企業の成長も同じように考えてみることができます。成長の三段プログラ
ムですが、その時のテーマはどんなになるでしょう。

短期目標:運営の効率化と有効性による絞り込み。ムダコストの排除と生産性向上
中期目標:市場や顧客層へのフォーカス。より密着した顧客接点から新しいチャン
      スを求めます。物流性能の追加と企業間の差別化を強化した取り組み。
長期目標:長年にわたり準備を続けてきた販売チャネル、製品群、顧客層が創造さ
     れて、企業が変態を終えます。単なる変化対応ではなく、メタモルフォ
     ーゼを表現する企業再生です。
 
 いずれの目標にも時間と共に成長の鈍化や限界がありますから(収穫逓減法則)
成長カーブはなだらかに変化します。急成長はあり得ません。このことを認識する
と物流活動も改廃を繰り返すことになります。

●骨が痛い、体が痛い

人間の成長は自覚することがなかなかありません。子どもは、骨の伸びと筋肉間接
の成長バランスが崩れたときに熱を出し、痛みを伴います。心身のバランスも崩れ
て思春期、反抗期、退廃期を乗り越えていきます。

組織も同じようにあると思います。それを自覚できるかどうかで、企業病を乗り切
ることが抵抗になるのです。経営環境の変化は顧客満足や支持で計れます。組織の
変態は業績の推移で見ることができます。ところが個人の技量の変化は、知識と技
術に努力の影響が大きいので、個人差が最も大きく現れます。このことが、愚痴や
不満になるのでしょう。

痛みを伴わない成長などあり得ないことは、自然界の法則なのに、仕事だけは変化
を受け入れがたい。個人の成長はマンネリに陥りやすいものです。昨日と同じ職務
は中期ではあり得ないのに、変化に対して防戦しようとあがきます。

▲成長するためにしなくてはならないこと


モラルハザードが喪失されそうと言われています。宇宙船地球号を守ろうと決意し
たはずなのに、環境対策に手が抜けます。地域社会の一員としての最低法令さえ、
自己中心の業績のために放棄されかねません。一部の不心得者として取り上げるの
はあまりに短絡的です。

成長に試練や苦しい努力があるのに、痛みがあるものなのに、易き道を選択するの
はどこかにひずみを隠しているようなものです。時々の名門企業失態は、こんな事
かもしれません。個人の試練、組織の変化、環境顧客への対応には、時間がかかり
成果もすぐには現れないものです。組み合わされてはじめて、成長軌道が描けるの
でしょう。このことを古典ではたくさんの事例を引きながら、読み物として残され
て来ています。徳を積むものが残り、利を求めるものが滅びる・・・とか。

●問題意識をもう一度

子どもの頃、学生時代、新入社員のときに常々言われたことが、「問題意識を持っ
て事に臨め」とは、何のことだったのか。なぜ、という問いかけで自身と目前の事
象の本質を問いただす探求心を忘れないことが、そうでしょう。

研究や開発、情報提供のように対価を求めやすい活動に比べて、物流業務は付加価
値を生みません。誰も報酬を払いたがりません。ならば、なぜと銘ずる態度が必要
だと思います。その作業は本当に必要なものなのだろうか、企業と個人の成長に有
用なものだろうかと。

80:20の法則、20:300の法則、物流コストのABC分析などを当てはめ
てみると、あまりに無用な物流活動の実態があぶり出されてきます。職務だからと
昨日と同じ事を繰り返すことが容易いから、習慣になっているから、他律的な職制
だからと思うことは、果たして成長の過程にあるのだろうかと問うことです。

●ロジスティクス活動は欠かせないもの

製造販売の前線が局地戦に変わり、規模が縮小しても物流の重要性は変わりません
が、拠点や要員は次の大戦に備えて撤退するものです。物流部隊は一時縮小です。
それを痛みと見るなら、成長の条件です。個人の成長のためには知識、技術、努力
を別の場面で求めるものです。作業者は確かに無用になります。でも、ロジスティ
クスは作業者の集団ではなかったはずで、そのことを忘れては辛くなります。

センターが廃止され、部門が縮小されたときに、物流マンは何を思うかという支え
にエールを送りたいのです。